僕が少年だった頃、資本主義と共産主義という二つのイデオロギーが対立する時代があった。いわゆる冷戦である。
日本は戦後、否が応にも資本主義陣営に組み込まれ、殆どのメディアは良くも悪くもアメリカを中心とする西側陣営からの視点だった。
これは今でもたいして変わってはいない。
そんな時代に少年時代を過ごした僕たちは、男の子宜しく戦争ごっこに没頭した。
皆が、M16A1という名の当時アメリカ軍が採用していたアサルトライフルに惹かれ、
そのモデルガンと両手いっぱいのBB弾をボトルに詰め込み、毎日のように山や野原を駆け回った。
単純に、当時多く製作されていたベトナム戦争の映画を見て、格好良く描かれたアメリカ軍の若い兵士たちに魅力を感じた。
プラトーンやフルメタルジャケット、
ハンバーガーヒルなんていう映画を何度も何度も見ては次の日、真似をした。
悪魔の銃と呼ばれるAK-47を持ち、見るからに貧弱な装備のベトコンの兵士たちは子供の僕には只々、悪者にしか見えなかったし、そう描かれていた。
あれから随分と時間が過ぎ、大人になった僕はあの当時よりは世界や歴史を知っている。
アメリカの正義が世界の正義では無いことや、
戦争というものを善か悪かの二元論で考える事の愚かさも学んだ。
このドキュメンタリー映画はベトナム戦争の真実が生々しく記録されている。
これこそが、施政者たちがひた隠しにする現実と事実を、
一般大衆に叩きつけるモノホンのジャーナリズムである。
僕は始まって30分もたたないうちに涙で前が見えなくなり、メランコリックー。
命を懸けて報道したジャーナリスト達の活躍により、アメリカ本国はもとより、世界中で反戦運動が広がり、1973年3月29日アメリカは軍をベトナムから完全に撤退させる。
メディアが戦争を終わらせたと言っても過言ではないだろう。
ベトナム戦争以後、施政者たちは学び、報道に規制をひく。
戦争というもののありのままの真実を大衆が知ることはもう多分出来ないのではないだろうか。
1971年、NYタイムスの一面でトンキン湾事件など、アメリカのベトナムへの戦争介入の自作自演が書かれた秘密文書が発表される。
これをめぐり国家とジャーナリズムが法廷で対決。
連邦最高裁は
「報道機関は政府に奉仕するのではなく、国民に奉仕するものである」
と述べ、ニクソン大統領の掲載差し止め命令を却下。
ここらへんにアメリカという国の凄さを感じます。
と同時に、日本のメディアを見ていると、とても悲しくなりますわアテクシ。

